昭和レトロな市場から広がる、うなぎの香り
2025.1.16

宮崎の良いお店を紹介する「さんぽ宮崎」。

本日は、上質な国産うなぎが驚きの価格で食べられる人気店「うなぎの鰻美(ばんび)」をご紹介します。

宮崎の食材流通の拠点、宮崎中央卸売市場の一角にひっそりとたたずむ隠れ家的なお店。

朝限定20食のうな丼の価格は1000円(税込)!

どうして、そんなリーズナブルで国産うなぎが食べられちゃうの?

うなぎの鰻美の秘密と魅力について、店長の森さんに伺いました。

宮崎中央卸市場にただよう、うなぎの香り

うなぎの鰻美が店を構える宮崎中央卸売市場は、宮崎市の新鮮な農産物や魚介類が集まる食材流通の拠点。

昭和の懐かしい雰囲気を漂わせた商店街には、個性豊かな専門店や飲食店が並びます。

毎月第1第3土曜日に開催される恒例の「カンカン市」も、地元の人が多く集まり賑わいます。

宮崎ならではの新鮮な食材や特産品はもちろん、宮崎ご当地パン「じゃりパン」で全国的に話題になったミカエル堂も市場内にあり、地元の食文化なども堪能できる人気スポットです。

そんな市場は朝6時から営業(一般開放は7時)、そして活気が冷めない朝7時30分から、うなぎの鰻美は営業を開始します。朝早くから、新鮮なうなぎが食べられる、市場ならではの贅沢な光景です。

お店の扉を開けると

「いらっしゃいませ!」

と、店長の森さんと、スタッフの東郷さんが笑顔で迎えてくれます。

実は森さんと東郷さんは姉妹で店舗を運営。調理から接客まで丁寧に対応してくれます。

店内のカウンターでは目の前でうなぎが調理されるので、香ばしいにおいが食欲をそそります。

テーブル席は4人掛けが2組。こちらでは、友人や家族とゆっくり会話をしながら食事を楽しめます。

国産うなぎのこだわりと問屋ならではの価格

スーパーでもうなぎは1尾2000円以上、外国産も値段が高くなっているなか、なぜ人気の国産うなぎがこんなにも安く食べられるのか・・・。

一般的な国産うなぎは、その品質ゆえ高価格で取引されており、そう簡単には手が届きません。

実は、森さんの旦那様がうなぎの問屋を営まれていることから、常に鮮度と品質を維持しながら、この価格でお客様に提供できるそう。

リーズナブルなのに、驚きのボリューム

「ひとりでも多くのお客様に、国産うなぎを楽しんでもらいたいから」と、森さんは笑顔。

このお値段ではなかなか味わえない、国産うなぎのクオリティに驚きです。

うな丼 一尾

「国産うなぎの取り扱いは決して簡単ではありませんが、特に大隅産うなぎには特別なこだわりを持っています」と森さん。

大隅産うなぎを取り扱うために必要な細かい配慮や、厳選された素材などのこだわりは、すべてお客様に満足してもらうため、とのこと。

大隅産うなぎは、南九州の恵まれた自然環境と清らかな水源で育まれ、ふっくらとした肉厚な身と濃厚でありながらも上品な脂のりが特徴。

それはまさに自然の恵みそのもの。

大隅産うなぎのふっくら感も存分に楽しめる

その優れた品質は、口にするたびにその繊細な味わいを実感でき、多くのうなぎ愛好家からも絶賛されています。

うな丼 半尾

うなぎのタレにも、店のこだわりが深く息づいています。うなぎの鰻美オリジナルの特製タレは、うなぎの風味を最大限に引き立てるよう時間をかけて丁寧に仕込まれたもの。

うなぎとの相性は抜群です。

こだわりのタレ

一口食べるごとにその絶妙な味わいが口の中に広がり、まろやかでありながらコクのある深みが、ふっくらと焼き上げられたうなぎと絶妙に絡み合います。

照りと香ばしさが調和するふっくらうなぎ

うなぎの鰻美はテイクアウトも受け付けています。

容器の蓋を開ければ食欲をそそする香りが広がり、ボリューム満点の絶品うなぎが待ち構えています。そっと添えられた卵焼きと漬物がなんとも嬉しいポイントです。

宮崎中央卸売市場のお土産にもおすすめです。

早朝営業のこだわりと思い

森さんのこだわりは、営業時間にもあります。

市場という場所ゆえに、お店の周りでは朝早くから活動している人たちも多く、そんな方々の生活スタイルに寄り添い「朝食にうなぎを楽しんでもらいたい」という思いから、朝7時30分からの営業を続けているそう。

午前中は7時30分~10時頃まで厨房に立ち、うな丼を調理していく森さん

その斬新なアイデアは、市場で働く地元人だけでなく、観光客や市場を訪れた仕入れ業者の方々にも好評で、朝限定20食の「あさ丼」がすぐに完売することも珍しくありません。

なかでも「早朝から営業しているうなぎ屋」という点が話題を呼び、メディアやインフルエンサーに注目されることも。SNSを通じて話題になり、遠方から足を運ぶお客様もいるらしいです。

朝から香ばしいうなぎの香りがただよう市場の風景は、他ではなかなかお目にかかれない、うなぎの鰻美の魅力です。

専用の焼き機から、ただよう香ばしい香り

姉妹ならではの息の合ったおもてなし

「お互い気を使わずに、お客様へおもてなしできるのが何よりの強みです」

店長の森さんと妹の東郷さんは顔を見合わせて笑います。

常連のお客様が来客されたら気さくに世間話、新規のお客様にも笑顔でコミュニケーションをとってくれる、お二人の温かい人柄も魅力のひとつです。

調理で焼きを担当するのは姉の森さん。

うなぎの焼き加減を見極め、香ばしくふっくらと焼き上げてお店の味を支えています。

じっくりと火が通されるうなぎ

妹の東郷さんは、接客がメインで配膳や後片付けなどをされています。

お昼時の時間帯は、日によってはかなり忙しくなりますが、お互いを助け合いテキパキとした動きでお店がスムーズに回っていきます。

それぞれの役割をしっかりと分担しながらも、姉妹だから息もぴったり。

姉妹の温かい人柄でお店全体の雰囲気も温かく、居心地の良いひとときが過ごせます。

ふっくらと焼きあがったうなぎ

親子三代で愛されるお店に

最後に、森さんへ今後の目標について質問しました。

少し悩んだ表情のあと、パッと笑顔になります。

「親子三代で通ってくださるお客様がいるのは、本当にありがたいことです」と、森さんは微笑み、東郷さんもうなずきます。

お客様のなかには、ご夫婦で来店された後日に、お子様やご両親を連れて再訪してもらえることが度々あるそうです。

「多くの人に長く愛されるお店であり続けることを目標に、今後も精一杯取り組んでいきたいと思います」と森さんは少し照れながら、笑顔で答えてくれました。

日々、うなぎの仕入れ価格が上がっているなか、できる限りリーズナブルな価格で、国産うなぎを楽しんでもらいたい。そのような思いで努力されているお二人の姿勢は、お客様への思いそのものだと感じます。

SNSやメディアなどで注目を集めるだけでなく、口コミでも評判が広がっていくこともうなずけます。

親子三代で楽しめる、温かさに満ちたお店をめざす挑戦はまだまだ続きます。