宮崎の良いお店をご紹介する「さんぽ宮崎」。
本日は創業1987年、宮崎ニシタチを 30年以上もの間盛り上げてきた 老舗のレストランバー
「KURA」をご紹介します。

愛され続ける理由は、創業当初から変わらないコンセプトである「うまい飯とうまい酒」。
一見シンプルな理念のようで、KURA ほど高いクオリティで料理とお酒を提供し続けられるお店は多くありません。
西橘通りのSGソシアルビルの地下1階といった隠れ家的な場所にありながら、週末はどのシーズンも多くの人で賑わい、県内県外問わず長年愛され続けている Bar KURA。
その魅力の本質を探るべく、インタビューを行いました。
KURAの料理とお酒、美味しさの秘密
お酒と料理の2つを高いレベルで提供し続けるKURA。
約40年もの間、どのようにしてお店の味を作がつくられ、また受け継がれていったのか。
2代目の店主である山口さんに伺いました。

KURA 店主の山口さん
──当時のお話しを教えてください。
山口「先代のマスターは元々料理人の出身で料理はもちろんのことお酒にも強いこだわりのある方でした」
KURAの2代目の店主である山口さんは語ります。
山口「当時の入りたてのスタッフはまずは厨房から仕事を覚えていき、カクテルなどのドリンクは約1年をかけてお酒を学んだ後、先代マスターのテストに合格したのちにやっとお客様に提供できるといった教育がありました、ボトルを磨きながらお酒の名前や特徴を覚えていきましたね」
──厳しい教育があったんですね。印象深いエピソードはありますか?
山口「初めて作る1杯は必ずいつも来てくださる常連のお客様にお願いして飲んでもらうといったお店の文化がありました。提供できた時は嬉しかっただけでなく、自分の作った1杯で代金をいただくありがたみを感じました」
──頼まれた常連さんも嬉しい瞬間だったかと思います。今もそういった教育がなされているのでしょうか?
山口 「昔のように1年間絶対お酒は作らせないということはないですが、料理やカクテルではレシピ通りに作っても素材によって味が変わるため、自分の舌で確かめて分量を判断することを教えています。例えばカクテルでよく使うライムでも今日は甘みが強いとか酸味が弱いといった変化があるため、それに対応できるようにスタッフにはレシピだけではなく味で作ることを徹底しています」
レシピだけではなく味での判断を大事にする。
KURAの変わらない美味しさはここから来ているのかもしれません。


手間と時間を惜しまず作られた料理、宮崎県産のフルーツを使ったカクテルは、どれも美味しく、贅沢なひとときを味わわせてくれます。
お客さんが口を揃えてすすめるKURAのオムレツ

多彩なメニューを取り揃えているKURAですが、お客様におすすめを尋ねると、多くの方がオムレツをあげます。
──いつからオムレツが人気になったのでしょうか?
山口 「創業当初からだと思います。特に初代マスターのオムレツは伝説で、今は落ち着きましたが当時のお客様は誰しもが絶対オムレツを注文するというくらいの人気メニューでした」
──何か特別な調理法などがあるのでしょうか?
山口「 オムレツは洋食料理において基本的な部分をになっている料理で、実は作るのが難しい料理だったりします。オムレツがうまくできてイッパシといっても過言ではないくらいで、特別な調理法というより初代マスターの料理人の技術で人気メニューになったんじゃないかなと思います。
当時はかなり練習させられました。今だにオムレツは初代のマスターには敵わないなと思っていますね」
こう語る山口さんですが、オムレツはもちろん今でも人気メニュー。
しっかりと味が受け継がれ変わらぬ人気メニューになっています。
他にもまだまだ! KURAのおすすめメニュー
KURAのピザもよくおすすめにあげられます。
生地が薄くパリパリでその好評ぶりから、他の飲食店から生地を使わせてくれと頼まれたりしているといったことも伺いました。
山口 「KURAのピザも昔から変わってないですね、生地は普通のピザ生地ではなくトルティーヤ(タコスなどで使われる薄皮の生地)を使っています。薄皮の生地はお酒と一緒に食べるにはちょうど良いボリュームでよく頼まれるメニューです。」
──美味しいのはもちろん、食べやすいサイズと食感が人気なんですね。その他で何かおすすめメニューはありますか?
山口 「魚介系のメニューがおすすめです。KURAではできるだけ新鮮な魚を使うことにこだわっていて、魚は厳選して提供しているので是非食べていただきたいですね」
釣りが趣味の山口さん、運が良ければその日釣った魚も提供しているようです。
仕入れによってメニューが変わるのでお気軽にスタッフにお尋ねくださいとのこと。
魚料理も絶品です。
KURAの歩みと人々の思い出
30年以上にわたりニシタチを盛り上げてきたBar KURA。
その歴史や時代とともに変化してきたお店のエピソードやお客様とのエピソードを伺いました。

レトロなアンティークと歴史を感じさせる店内
──長年続けていく中で、お客様との印象的なエピソードはありますか?
山口 「そうですね、印象的なお客様はたくさんいらっしゃいますが、1つあげるとすれば。
あるお客様が、お子さんが生まれた年にボトルキープをされて、そのお子さんが成人された際にご家族でお越しくださり、長年キープされていたボトルを親子で一緒に飲んでくださった時はすごく感慨深かったというか印象に残る瞬間でした」
──40年近く続くお店ならではの感動的なエピソードですね。逆に長年続けた中で大変だった時期などはあったのでしょうか?
山口 「やはりコロナ禍の時期は厳しかったですね。夜の営業は20時までといわれていたので、メインの時間が営業できないため、テイクアウトやお昼の営業をやってみたりといろいろとやりました。その中でお昼は同業者の方がきてくれたり、夕方からは常連のお客様が友達を誘ってきてくださったり、いろんな方に支えられて乗り越えることができました。」
当時は大変だったと山口さんは語ってくださいました。
ただ、この時のランチ営業時に挑戦していたことがこの後の展開につながったとのこと。
どんな経験も次に活かすという老舗の強さがあります。
継承される思い
──山口さんは2代目店主ということですが、先代から引き継いだ際はどのようなお気持ちだったのでしょうか?
山口「 6年前にお店を引き継いだ時、歴史のあるお店なので名前もスタイルもそのままで引き継ぎたいと思いました。お客様に変わってしまったなどと思われないよう、できるだけそのまま変わらずを意識して引き継ぎました。ありがたいことに今も変わらずお客さんは来ていただいていて、先代のマスターもたまに来てくださいます」
お店の雰囲気、スタイルを変わらず守り続けているKURA
多くの常連客が通い続ける理由の1つかもしれません。

暖かい雰囲気で居心地のよいカウンター
記者が語るBar KURAの魅力
何を隠そう記者である私もKURAのファン。 KURAの魅力を皆様に知ってもらうべく、第三者からみたKURAの素晴らしいところを記載させていただきます。
1.約40年の歴史を感じさせるカウンターと酒棚

レトロで年季の入ったカウンターはとても居心地が良く懐かしさもあります。
また、今ではお目にかかれない珍しい「特級ウィスキー※」など、時代を感じさせるお酒も酒棚にあり、料理と一緒に昔に思いを馳せながら楽しめるのもKURAの魅力です。
※1989年の酒税法改正で廃止になった級別区分によって定められていた、ウイスキーの階級です。
2.居心地の良さとコスパの良さ

お酒、料理ともにリーズナブルに楽しめるKURAは一人飲みもおすすめです。
KURAの暖かな雰囲気は誰でも受け入れてくれますよ!
お客さんも一人飲みの方が多く訪れています。
気軽に立ち寄れて本格的なお酒と料理が堪能できる貴重なお店です。
3.気さくでこだわりのあるマスター

長年カウンターに立ち続けるマスター、料理とお酒のオーダーを凄いスピードかつ丁寧に捌きます。また、お酒や料理に関してのマスターのこだわりは凄く、そのこだわりや雑学などの話を聞くのも楽しみの一つです。
KURAの新たな展望。蕎麦屋への挑戦
KURAのスタッフである與田さんが、若草通りに新たに蕎麦屋をオープンすることが決定。
実はコロナ禍の際、ランチ営業では蕎麦をメインに提供していたKURA。
年末には毎年マスターの打つ年越しそばが評判でした。

──新店舗の蕎麦屋さんのオープン経緯を教えてください。
山口 「スタッフの興田さんがきっかけです。彼はもともと蕎麦屋で働いていて、蕎麦教室で蕎麦打ちを教えていたのですが、そこに私が通っていたのが縁でKURAのスタッフとして働いてくれるようになりました。
興田さんと働く中で、蕎麦について学ぶ機会が増え、年末には年越し蕎麦を出すようになりました。そして、コロナ禍の際はランチで蕎麦を提供し好評だったので。今回、若草通りに出店するチャンスがあり蕎麦屋を出してみようかという事になりました」
──満を辞しての出店なんですね。何かこだわりなどあったりするのでしょうか?
山口「 蕎麦を食べる人の中には香りを楽しむ方が多いので、手打ちはもちろん、そばの実から蕎麦粉を挽いたすべて自家製の蕎麦を提供したいと思っています。挽きたての蕎麦粉の香りや風味を楽しんでいただけるようにこだわりました。
KURAでもすでに提供していて手応えを感じていますが、若草のお客さんにも受け入れられるようがんばりたいです」
新規店舗の蕎麦屋さん凄く楽しみです。
今回は素敵なお話しをたくさん聞かせていただきありがとうございました。

左:KURA店主の山口さん、右:KURAスタッフで新規オープン蕎麦屋店長の興田さん
30年以上にわたり「うまい飯とうまい酒」で宮崎ニシタチの夜を彩ってきたBar KURA。 今後の展開にも目が離せません。